【雑記】弁理士の年収について
目次
1.弁理士の年収と働き方
結論から入りますが、弁理士の年収についてですが、中堅の雇われ弁理士で600万~700万(年齢30代くらい)くらいが妥当なようです。
最近は、特許事務所もあまり儲かっていないので、特許事務所より企業知財部指向の弁理士が増えているように感じます。
弁理士資格があれば、一流企業の知財部に入ることはそこまで難しくも無いですし、退職金制度や福利厚生も企業の方が良く、また、一流企業であれば特許事務所にありがちな残業三昧やUrgent(緊急)の仕事もほぼ無くホワイトです。
なので、形式的な年収が特許事務所と企業とで同じと仮定しても、実質的には企業の方が圧倒的に良いですし労働環境も企業の方に軍配が上がります。
ただし、特許事務所でも大手に入り、それなりに実力や貢献があれば、10年程度でパートナー(企業でいう管理職)になれる可能性があります。
割合でいうと、弁理士の10人に1人くらいでしょうか(この割合は弁護士先生の方にも言えるようで、実感としてかなり正確な割合だと思います)。
パートナーになれれば、年収2000万~3000万くらいもらえるので、企業勤めを上回ることが可能です。しかし、パートナーは下につく弁理士や特許技術者の面倒をみて、お客様とのお酒の付き合いを続け、案件の事故があれば海外でも謝りに行く、という結構大変な役職でもあります。
他方、企業勤務の弁理士でも、事業会社の部長職やコンサル系の研究員等になることができれば、2000万くらいいける可能性があります。
では、特許事務所を開業した代表弁理士はどうでしょうか。実際のところ、開業して数千万の年収が待っているかというとそうでもありません。
500万程度の代表弁理士もいれば、2000万程度の代表弁理士もいますし、それ以上もいます。開業したからといって儲かるかは別の話しです。
結局のところ、特許事務所を開業したら営業力がモノをいう世界になるので、きれいなHPを作り、コツコツとドメインパワーを向上させ、広告を打ち、昔もらった名刺宛てに片っ端から「開業しましたのでよろしくお願いします!」とメールし、コネで仕事をもらい…という地味な作業が続きます。
それでも、特許事務所を開業して自分の城を持ってやっていくというのは楽しいですしストレスフリーですので、お金では買えない価値があります。
結局のところ、どこかの特許事務所に入ってパートナー目指すも良し、企業に入るも良し、開業するも良しで、自分の適性と相談されるのがよろしいかと思います。
2.弁理士の収入の将来性
特許事務所の界隈では現在、統廃合が進んでいます。
特許事務所の70%前後が弁理士の1人事務所であってあること、弁理士の高齢化も進んでいること、企業知財部の求める要求が高まっていることから、特許事務所が減少し中~大の特許事務所が存続をかけて案件をこなしている状況にあるかと思います。
弁理士の仕事は、専業業務でかなり守られているため無くなることは無いですが、案件(特許出願件数等)の減少もあることから通常業務で大儲けできるというわけでもありません。
弁理士の基本業務(発明や商標相談~出願~審査~権利化)はできて当たり前であって、プラス・アルファの価値をつけることができないと頭一つ抜けることは厳しいでしょう。
弁理士は英語の読み書きができる人が多いですが、それにプラスして話すこともできればとりあえず食いっぱぐれることは無い印象ですし、パートナー候補に入ることも可能です。
また、本気で儲けていきたいと考える場合には、今流行りの知財価値評価やIPランドスケープなどを本気で学んでいくのが良いかと思います。
知財価値評価は会計知識が必要なことや、IPランドスケープでは特許データ分析や営業情報との相互作用などの検討が必要でこれらには弁理士でも参入(学習)障壁があるため、これらに対応できる弁理士は少ないです。したがって、これらを売りにすればかなり儲けることができるかと思います。
3.事業に関する考え方
弁理士の業務を問わず事業を成功させる一つの方法として、新しい分野、新しい法律、新しい制度、新しい規制などに、常に意識を向けておくことが良いでしょう。
これは、新しい分野や新しい制度に対してはそれが始まった段階では未だ誰もそれに対応しておらず、ブルーオーシャンが広がっているためです。
既に寡占されている市場でパイを奪い合うことは非常に大変で地道な作業が必要であり爆発的な規模拡大を狙うことは難しいですが、新しい分野等では、そこで迅速な事業展開ができれば寡占できる可能性が大いにあるのですね。
私も日々、新しい分野等が無いか新しい制度が国会で話されていないかなどに注意を向けています。
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