【知財事務】代理人受任届に関する実務
1.知財事務(特許事務)の仕事
知財事務(特許事務)の仕事内容は、専門的なもので、例えば下記のようなものが挙げられます:
(1)弁理士や特許技術者から受け取った出願書類等に出願情報を加筆して調整すること
(2)図面や表をイメージ化して出願フォーマットに変換すること
(3)出願情報に変更が無いか過去~最新の状態をチェックすること
(4)案件の期限管理や包袋管理を行うこと
(5)名義変更等の手続を行うこと
(6)特許年金・商標更新の管理を行うこと
知財事務は基本的に事務方が担当しており、かつそのノウハウに関する書類等が交付されているわけでもなく、事務方の長年の経験に依存しているため、その実務を弁理士でもあまり分かっていない人が多いです。
2.代理人受任届の実務
今回は、代理人受任届に関する実務を書きます。
これを読む人は、特許事務所関連の人がメインとは思いますが、知財事務をやってみたいという人も後学のためにおすすめです。
さて、懸案の「代理人受任届」ですが、代理人の弁理士を「追加」するときに使用します。
例えば、最初に出願を担当した代理人は、代理人受任届を提出する必要はありません。
また、代理人受任届を提出する際には、個別又は包括委任状を提出するか、又は過去に提出した委任状を援用する必要があります(援用の表示は代理人受任に記載すれば事足ります)。
代理人受任届を提出するタイミングは、お客様が「日本国内に住所又は居所(法人にあつては、営業所)を有する者」である場合には、案件の手続を行う直前に基本的に行います。
他方、お客様が「日本国内に住所又は居所(法人にあつては、営業所)を有する者」でない場合、つまり、外国のお客様である場合には、前任の代理人が代理人辞任届を提出する前に、後任の代理人が代理人受任届を提出する必要があります(特許法第8条)。
外国のお客様の場合には、代理人による案件管理が必須で課されているためです。
余談ですが、最初に出願を担当した代理人であっても、権利の死活に関する下記の手続を行う前には、個別若しくは包括委任状の提出、又はその援用が必要となるのでご注意ください(特許法第9条)。
(1)特許出願の変更
(2)特許出願の放棄
(3)特許出願の取下げ
(4)特許権の存続期間の延長登録の出願の取下げ
(5)特許権の存続期間の延長登録の出願の請求
(6)特許権の存続期間の延長登録の出願の申請
(7)特許権の存続期間の延長登録の出願の申立ての取下げ
(8)第四十一条第一項の優先権の主張
(9)第四十一条第一項の優先権の取下げ
(10)第四十六条の二第一項の規定による実用新案登録に基づく特許出願
(11)出願公開の請求
(12)拒絶査定不服審判の請求
(13)特許権の放棄
(14)復代理人の選任
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