【中国特許】パリ優先権主張出願に関する誤訳訂正
1.課題(中国でのパリ優先権主張出願では誤訳訂正が認められない)
日本等の特許出願を基礎として、その出願日から1年以内にパリ優先権主張出願を中国で行った件がありました。
しかし、中国語の明細書において、誤訳が発見されました。
このような場合に、中国でのパリ優先権主張出願では誤訳訂正が認められないため、問題となりました。
2.解決手段とその効果
上記のような場合、対処法としては下記の(1)~(3)等が挙げられます。
(1).誤訳部分の正訳が、誤訳部分とは別の部分(明細書中)に明示的に開示されている場合には、そこの部分に基づいて、明確化を理由とした手続補正を行う(認められる可能性が高い)。
(2).誤訳部分の正訳が、誤訳部分とは別の部分(明細書中)に暗示的に開示されている場合には、そこの部分に基づいて、「誤訳訂正」でなく「誤記訂正」を理由とした手続補正を行う(認められない可能性が高い)。
(3).誤訳部分の正訳が、誤訳部分とは別の部分(明細書中)に明示的にも暗示的にも非開示の場合には、削除等で対応。
誤訳はどうしても生じてしまうものです。
誤訳の部分が重要な部分である場合には致命的エラーとなりますが、他方で重要な部分で無い場合には軽微のエラーで済むということで、そのエラー部分の重み付けも重要なファクターです。
なお、日本の特許制度でも、日本以外の同盟国での特許出願等に基づいて日本にパリ優先権主張出願ができます。この際に、日本の特許事務所では、将来の誤訳訂正の可能性を考慮して「外国語書面出願」を選択するのが典型です。
この投稿へのトラックバック
トラックバックはありません。
- トラックバック URL
この投稿へのコメント