【特許】外国語国際出願や外国語書面出願の翻訳文等の補正開始時期について

1.外国語特許出願や外国語書面出願の翻訳文

 外国語特許出願(外国語のPCT国際出願)の国内移行や、外国語書面出願では、原則としてその翻訳文(明細書、特許請求の範囲、要約、図面)の提出が追加で発生します。
 なお、外国語特許出願の国内移行では、外国語の説明が含まれる図面については、その図面とその説明の翻訳を提出するのみでよく(特許法第184条の4第1項「…図面の中の説明に限る。以下この条において同じ。…」)、他方、外国語書面出願では、外国語の説明の含有有無によらず全図を提出する必要があります(特許法第36条の2第2項)、全図の提出がなければ、願書に図面が添付されていないものとみなされ、誤訳訂正書の提出が必要となる可能性があるので注意しましょう。

 さて、本題ですが、上記で提出した翻訳文の補正時期には時期的制限が課されることがあるため、下記で備忘録として記載しておきます。

2.外国語特許出願や外国語書面出願の翻訳文等の補正開始時期

(1)外国語特許出願の翻訳文の補正開始時期について
 外国語特許出願の翻訳文の補正開始時期は、特許法第184条の12(補正の特例)第1項に記載されています。
 具体的には、外国語特許出願の翻訳文(明細書、特許請求の範囲、図面)の補正開始時期は、国内処理基準時(実務的には、優先日から30ヶ月経過時、翻訳文特例期間がある場合にはその経過時、又は審査請求をしたらその時)と覚えておきましょう。
 要約書の補正時期は、特許法第17条の3に記載のとおり、優先日から1年4ヶ月以内と別の法定期限で管理されますので注意が必要です。
 また、国内書面自体の自発補正時期は、上記の国内処理基準時に縛られず、国内書面の提出後から可能ですので、この点も注意が必要です。
 国内書面自体の自発補正内容としては、発明者の住所や氏名の誤記の修正が挙げられますが、発明者の削除や変更などは別途の書類が必要(IB306や発明者の宣誓書)となるのでこれも注意してください。

(2)外国語書面出願の翻訳文の補正開始時期について
 外国語書面出願の翻訳文(明細書、特許請求の範囲、図面)の補正開始時期は、翻訳文提出後です(特許法第36条の2第2項、第8項、17条の2第1項)。
 要約書の補正時期は、特許法第17条の3に記載のとおり、優先日から1年4ヶ月以内と別の法定期限で管理されますので注意が必要です。
 また、外国語書面の表紙となる特許願自体の自発補正開始時期は、特許願の提出後から可能ですのでこの点も注意が必要です。
 外国語書面の表紙となる特許願自体の自発補正の内容としては、発明者の住所・氏名の修正・追加・削除や、DASコードの追加等が挙げられます(DASコードの追加については、特許に関する優先権証明書の提出期限内である優先日から1年4ヶ月以内(特許法第43条第2項))。

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