【特許】パリ優先権主張を伴う外国語書面出願の承継証明について

1.課題(外国語書面出願)

 外国のクライアント(お客様)が、外国で出願した特許出願(以下、第一国出願)に基づいて優先権主張し、日本で特許出願することがあります。
 その際には、パリ優先権主張出願として外国語書面出願(日本語翻訳文が必要、以下、第二国出願)するのが一般的です。
 外国語書面出願とすることで、万が一、外国の特許出願に基づく日本語翻訳文に誤訳があったとしても、それを誤訳訂正することができるメリットがあります。

 さて、このようなパリ優先権主張出願においては、基本的に、第一国出願の出願人と、第二国の出願人とが同一又はその承継人である必要があります(パリ条約第4条A等)。
 ここで、第一国出願と第二国出願の出願人が異なる場合、つまり、「承継人」がいる場合の処理が問題となります。
 具体的には、「承継人」がいる場合には、原則として「承継を証明する書面」の提出が必要なのですが(特許法施行規則第5条)、外国のクライアントの場合にはこれが煩雑な手続なのです。

2.解決手段とその効果

 結論から申しますと、上記のパリ優先権主張出願において、「承継を証明する書面」の提出は省略することが可能です。
 これは、下記の(1)及び(2
)の理由によります:
(1)特許法施行規則第5条第2項には「特許庁長官は、特許を受ける権利を承継した者の特許出願について必要があると認めるときは、その権利の承継を証明する書面の提出を命ずることができる」と記載されており、羈束処分でなく、裁量処分的に記載されていること。
(2)パリ優先権主張出願は1年以内に出願するものであって、原則として(出願公開の請求(特許法第64条の2)が無い限り)出願公開される前に処理されます。
 このような第三者が未だ知り得ない出願についての承継は、当事者同士で適切に処理されているものとみなして、日本特許庁は「承継を証明する書面」無しでも受け付けているとのことでした。

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