【知財戦略】知財のオープン・クローズ戦略で事業を発展させる

1.特許権を有効活用できていますか?

 特許は、その権利を取得して終わり、というものではありません。取得した特許権を有効に利用してこそ意味があります。
 しかしながら、有効活用できている特許権というのは少ないか、又は客観的にはその有効性が分かりにくいものです。
 特に、日本の商慣習では、争いを忌避し、また企業コンプライアンスを遵守する傾向が強く、特許権を行使することによる侵害訴訟等は、欧米等と比較して割合小さいです。特許権に基づく実施権(専用実施権や通常実施権)の設定でライセンス料をとるという使い方もありますが、活発であるかというと…。
 さて、このような特許権の有効活用の一つにオープン・クローズ戦略というものがあります。このオープン・クローズ戦略を用いることにより、市場を寡占するようなプラットフォームを構築することが可能となります。
 当該戦略には種々のやり方があるのですが、ここではコア・シェルでの戦略を紹介します。 

2.コア・シェル特許による事業戦略

 コア・シェルでのオープン・クローズ戦略とは、コア特許(重要特許)と、それに関連するシェル特許(周辺特許)を利用するものです。 

 この戦略では、コア特許とシェル特許の権利化から始まります。この際に重要なのは、シェル特許群又はシェル技術部分を使用したら、必然的にコア特許・コア技術も使用せねばならないように、又は当該技術を使用することで最適化が図られるように権利化することです。

 次に、シェル特許群又はシェル技術部分を一般に公開して普及させます。普及の方法としては、無償化又は標準化などの手段があります。典型的には、シェル部分の技術が普及したら、その技術から他の技術に乗り換えることは困難となります。

 他方、コア特許群は解放せずに独占実施か、ライセンサー・ライセンシー契約の締結による実施料収入の獲得を目指します。

 上述したように、シェル特許群又はシェル技術部分を使用する際には、コア特許・コア技術も同時に使用することが最も好ましい最良の実施形態で最良の効果を奏するという状態にあります。さらに、シェル技術の普及により誰もがシェル技術を使用することを欲しています。

 したがって、必然的にコア特許群の実施が促進され、その部分での莫大な利益を見込むことができます。

 これがコア・シェル特許による事業戦略です。

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