【特許】国際出願の国内移行時に要約書に問題がある場合の処理方法_実務者向け

1.課題(国際出願の国内移行時に要約書に問題がある場合)

 国際出願(PCT)を国内移行する場合の要約書の取扱について、下記の2点、備忘録としてまとめます。
(1)国際公報の要約書に何も記載が無い場合の対応方法
(2)国際公報の要約書に誤りがあり、国内移行時にこれを修正したい場合

2.解決手段とその効果

(1)国際公報の要約書に何も記載が無い場合の対応方法
 国際出願を日本で国内移行する場合には、要約書の提出が必須です。
 しかし、国際公報の要約書に何も記載が無い場合には、国内移行時の要約書をどのように記載すれば良いか迷うことがあります。
 このような場合には下記の(1-1)又は(1-2)の対応方法が挙げられます:
(1-1)国際段階で要約書の補正等がなされている場合には、その補正内容に沿った内容の要約書で国内移行する。
(1-2)国際段階で要約書の補正等がなされていない場合には、下記に示すように、何も記載せずに(空白で)提出する:
---------------------------------------------------------------
【書類名】要約書
【要約】
【解決手段】(空白)
【選択図】…
---------------------------------------------------------------

(2)国際公報の要約書に誤りがあり、国内移行時にこれを修正したい場合
 要約書の補正は、原則、優先日から1年4ヶ月以内(16ヶ月)に行うことが可能です(特許法施行規則第十一条の二の二)。
 しかしながら、国際出願の国内移行の多くは優先日から2年6ヶ月(30ヶ月)頃に行われるため、上記の要約書の補正の期限要件を充足できないことがほとんどのため、注意が必要です。
 なお、「優先日」とは、原則、基礎出願に基づいて国際出願をしている場合には基礎出願の出願日を意味し、基礎出願に基づかずに国際出願をしている場合には国際出願日を意味します。

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