【特許】補正書での「補正により増加する請求項の数」記載判断について
1.手続補正書の記載 請求項数が増加した手続補正書を作成しているときに「【補正により増加する請求項の数】」の項目を作るかどうか判断に迷うときがあります。 実務者が迷うマイナー問題ですが、結構重要なのでメモがてら書いておきます。結論から言いますと、判断は下記の(1)又は(2)で分かれます:(1)審査請求書提出「前」に補正書を提出する場合【補正により増加する請求項の数】の記載不要(2)審査請求書提出「後」に補正書を提出する場合【補正により増加する請求項の数】の記載要 「【補正により増加する請求項の数】」の項目は、審査官に請求項が増えたことを教える親切心に基づくものでなく、審査請求費用を増項した請求項数分支払うための形式的なものです。 したがって、審査請求書提出の前後で、「【補正により増加する請求項の数】」の項目の要・不要が分かれます。 下記に、増項補正の例を示しておきます。2.審査請求書提出後の増項補正書の例【書類名】 手続補正書【あて先】 特許庁長官殿【事件の表示】 【出願番号】 特願0000-000000【補正をする者】 【識別番号】 000000000 【氏名又は名称】 特許株式会社【代理人】 【識別番号】 000000000 【弁理士】 【氏名又は名称】 代理 太郎【補正により増加する請求項の数】 3【手続補正1】 【補正対象書類名】 特許請求の範囲 【補正対象項目名】 全文 【補正方法】 変更 【補正の内容】【書類名】特許請求の範囲 【請求項1】 レンズ系を介して書面からの反射散乱光を1次元イメージセンサに受光することで主走査を行い、書面を被覆したハウジングを手送り移動することで副走査を行う書面イメージの入力手段において、該ハウジング内の上部に装着され、その受光面が書面と平行になるように設定された1次元イメージセンサと、書面に垂直でセンサ列方向軸を含む平面に対して傾斜し、かつ該センサ列方向軸と直行した光路面を構成するレンズ系とを備え、該ハウジングの被覆側端部で主走査することを特徴とするハンドスキャナ。 【請求項2】 請求項1のレンズ系を、書面に垂直でセンサ列方向軸を含む平面の左右両側に設けたことを特徴とする請求項1のハンドスキャナ。 【請求項3】 左または右側の受光を選択的に制御する光遮蔽部を該レンズ系の光路内に設けたことを特徴とする請求項2のハンドスキャナ。 【請求項4】 被写体の照明光源を、ハウジング上部に配した1次元イメージセンサの真下に設けハウジングに取付けたスイッチによって、左右両側端部のいずれか一方を照明するための光照射切替を行うことを特徴とする請求項2のハンドスキャナ。【手数料の表示】 【予納台帳番号】 000000 【納付金額】 12000
【知財事務】発信主義又は到達主義が適用される書類の範囲を説明します
1.特許庁が書類を受領したとみなす日時 特許庁は、書類によって発信主義と到達主義を使い分けています。 発信主義とは、簡単に言うと郵便物等の通信日付印の日付で受領したとみなす主義のことです。 また、到達主義とは、特許庁が実際にその郵便物等を受け取った日付で受領したとみなす主義のことです。 発信主義が採用される書類と、到達主義が採用される書類には、それぞれ条件があるので気をつけたいところです。 特に、発信主義が採用されると誤解した書類について、実際には到達主義が採用され、受理してもらえないなどのミスには要注意です。2.特許法第19条が発信主義の根拠条文 標題のとおり、発信主義が採用される書類の条件等は、特許法第19条に記載されています。 具体的には下記のとおりです:「願書又はこの法律若しくはこの法律に基づく命令の規定により特許庁に提出する書類その他の物件であつてその提出の期間が定められているものを郵便又は民間事業者による信書の送達に関する法律(平成十四年法律第九十九号。以下この条において「信書便法」という。)第二条第六項に規定する一般信書便事業者若しくは同条第九項に規定する特定信書便事業者の提供する同条第二項に規定する信書便(以下「信書便」という。)の役務であつて経済産業省令で定めるものにより提出した場合において、その願書又は物件を日本郵便株式会社の営業所(郵便の業務を行うものに限る。)に差し出した日時を郵便物の受領証により証明したときはその日時に、その郵便物又は信書便法第二条第三項に規定する信書便物(以下この条において「信書便物」という。)の通信日付印により表示された日時が明瞭であるときはその日時に、その郵便物又は信書便物の通信日付印により表示された日時のうち日のみが明瞭であつて時刻が明瞭でないときは表示された日の午後十二時に、その願書又は物件は、特許庁に到達したものとみなす。」 このままでは読みにくいので、「()」部分を外し、重要部分を太文字に変更してみましょう。「願書又はこの法律若しくはこの法律に基づく命令の規定により特許庁に提出する書類その他の物件であつてその提出の期間が定められているものを郵便又は民間事業者による信書の送達に関する法律第二条第六項に規定する一般信書便事業者若しくは同条第九項に規定する特定信書便事業者の提供する同条第二項に規定する信書便の役務であつて経済産業省令で定めるものにより提出した場合において、その願書又は物件を日本郵便株式会社の営業所に差し出した日時を郵便物の受領証により証明したときはその日時に、その郵便物又は信書便法第二条第三項に規定する信書便物の通信日付印により表示された日時が明瞭であるときはその日時に、その郵便物又は信書便物の通信日付印により表示された日時のうち日のみが明瞭であつて時刻が明瞭でないときは表示された日の午後十二時に、その願書又は物件は、特許庁に到達したものとみなす。」 上記のとおり、「願書又はこの法律若しくはこの法律に基づく命令の規定により特許庁に提出する書類その他の物件であつてその提出の期間が定められているもの」が、発信主義の対象となる書類です。 このような書類としては、例えば、拒絶理由通知への応答、拒絶査定への応答、出願審査請求書、審判請求書などが挙げられます。3.到達主義の根拠条文も特許法第19条 他方で、到達主義については、実は特段の根拠条文はありません。これは、発信主義に含まれない書類は到達主義で判断されるためです。 したがって、発信主義の対象となる書類の例示は下記のとおりです: 住所変更届、移転登録申請書、名義変更届、国際出願や訴状法定期限や書類管理にお困りの方へ おりがみ国際特許事務所では、法定期限管理や書類管理に長けた弁理士がサポートする環境が整っております。知財に関するお客様の悩みを、あらゆる観点から総合的にサポートすることが可能です。 法定期限の管理や、書類管理にお困りの方は、遠慮なく弊所までご相談ください。
【Patent】 Regarding Power of Attorney
1.Question regarding Power of AttorneyWhy the power of attorney is in favor of an Individual name and not in favor of a firm name?Furthermore, in case there are several patent attorneys working in the same firm, can a POA be in favor of several patent attorneys?Thanks in advance for the clarifications / confirmation.2.AnswerUnder the Japanese Patent law, the person who can take the procedure before the JPO on behalf of applicant resident abroad(an overseas resident) is limited to either a patent attorney or a patent professional corporation (patent attorney corporations).Therefore, a patent attorney is only person who could act before the JPO.Please note that it is possible to list several patent attorneys in the Power of attorney in case there are several patent attorneys working in the same patent firm.Hope the above clarifies your question, should you have any further question, please feel free to contact us at anytime.
【知財事務】代理人受任届に関する実務
1.知財事務(特許事務)の仕事 知財事務(特許事務)の仕事内容は、専門的なもので、例えば下記のようなものが挙げられます: (1)弁理士や特許技術者から受け取った出願書類等に出願情報を加筆して調整すること (2)図面や表をイメージ化して出願フォーマットに変換すること (3)出願情報に変更が無いか過去~最新の状態をチェックすること (4)案件の期限管理や包袋管理を行うこと (5)名義変更等の手続を行うこと (6)特許年金・商標更新の管理を行うこと 知財事務は基本的に事務方が担当しており、かつそのノウハウに関する書類等が交付されているわけでもなく、事務方の長年の経験に依存しているため、その実務を弁理士でもあまり分かっていない人が多いです。2.代理人受任届の実務 今回は、代理人受任届に関する実務を書きます。 これを読む人は、特許事務所関連の人がメインとは思いますが、知財事務をやってみたいという人も後学のためにおすすめです。 さて、懸案の「代理人受任届」ですが、代理人の弁理士を「追加」するときに使用します。 例えば、最初に出願を担当した代理人は、代理人受任届を提出する必要はありません。 また、代理人受任届を提出する際には、個別又は包括委任状を提出するか、又は過去に提出した委任状を援用する必要があります(援用の表示は代理人受任に記載すれば事足ります)。 代理人受任届を提出するタイミングは、お客様が「日本国内に住所又は居所(法人にあつては、営業所)を有する者」である場合には、案件の手続を行う直前に基本的に行います。 他方、お客様が「日本国内に住所又は居所(法人にあつては、営業所)を有する者」でない場合、つまり、外国のお客様である場合には、前任の代理人が代理人辞任届を提出する前に、後任の代理人が代理人受任届を提出する必要があります(特許法第8条)。 外国のお客様の場合には、代理人による案件管理が必須で課されているためです。 余談ですが、最初に出願を担当した代理人であっても、権利の死活に関する下記の手続を行う前には、個別若しくは包括委任状の提出、又はその援用が必要となるのでご注意ください(特許法第9条)。 (1)特許出願の変更 (2)特許出願の放棄 (3)特許出願の取下げ (4)特許権の存続期間の延長登録の出願の取下げ (5)特許権の存続期間の延長登録の出願の請求 (6)特許権の存続期間の延長登録の出願の申請 (7)特許権の存続期間の延長登録の出願の申立ての取下げ (8)第四十一条第一項の優先権の主張 (9)第四十一条第一項の優先権の取下げ (10)第四十六条の二第一項の規定による実用新案登録に基づく特許出願 (11)出願公開の請求 (12)拒絶査定不服審判の請求 (13)特許権の放棄 (14)復代理人の選任