【特許】第4回 簡単に分かる拒絶理由の対処方法(審査官の指摘が不当な場合:新規性)

1.前回のおさらい 簡単に分かる拒絶理由の対処方法シリーズは、初心者向けの拒絶理由通知の対処方法を示しています。 もちろん実務家の方も頭の整理として参照いただけますと嬉しいです。 さて、おさらいですが、第1回では、特許庁から通知される拒絶理由の解消において場合分け(パターン化)することで機械的に対処することができることを示しました。 第2回では、パターン化の最初のフローのうち、拒絶理由(事例)を当てはめるための処理用フローチャートの概論を示し、特に「(1-1).拒絶理由通知に特許性の示唆があるか確認」について具体的にお話ししました。 また、前回の第3回では、「(1-2).審査官の指摘の妥当性・失当性の確認」の概論をお話ししました。 パターン化とは、下記の(1)~(4)の過程を言います:(1).拒絶理由を処理用フローチャートへ当てはめ(2).処理用フローチャートに基づく拒絶理由解消の方針決定(3).拒絶理由解消の方針に基づいた解消案の提案、検討、決定(4).解消案に基づく補正案・意見書案の作成また、拒絶理由の処理用フローチャートの概論とは、下記の(1-1)~(1-4)の過程を言います:(1-1).拒絶理由通知に特許性の示唆があるか確認(1-2).審査官の指摘の妥当性・失当性の確認(1-3).審査官の指摘が失当ならば失当である旨を意見書で主張(1-4).審査官の指摘が妥当ならば拒絶理由を解消し得る補正案等を検討  今回は、引き続き「(1-2).審査官の指摘の妥当性・失当性の確認」についての各論、すなわち、新規性の拒絶理由の妥当性判断について説明します。 まずは、特許法等の意味する「新規性」についてお話しします。 2.特許法の意味する新規性とは 特許権を取得するには、特許出願に係る発明に新規性(特許法第29条第1項各号)があることが必要とされます。 発明の新規性の有無は、この特許出願以前に公開された文献(先行技術文献)等おいて、当該発明が公衆に公開されているかどうかで判断されます。 例えば、下記の事例を見てみましょう。●特許出願の特許請求の範囲【請求項1】Aを含む発明X(Aのみ)【請求項2】更にBを含む、請求項1に記載の発明X(A+B)【請求項3】更にCを含む、請求項1又は2に記載の発明X(A+C又はA+B+C)●先行技術文献(特許出願の出願日前のもの) 「この試作品Yは、Aから構成されている。…また、試作品Yは、更にBを追加することでより良い効果を発揮する」  上記の場合には、請求項1のAを含む発明Xは、先行技術文献Yで既に公開され、それに新規性が無いとみなされます。 また、請求項2の更にBを含む発明Xも、先行技術文献Yで既に公開され、それに新規性が無いとみなされます。 他方で請求項3の更にCを含む発明Xは、先行技術文献Yで既に公開されておらず、それに新規性が有るとみなされます。 このように、特許法の意味する新規性とは、発明の構成要件(上記のA、B、C)の組み合わせが一つの先行技術文献に公開されているか否かで判断されます。 なお、新規性については例外的に「内在同一」などの考え方もあるのですが、これは別記事にする予定です。 3.新規性の拒絶理由の妥当性判断 新規性に関する拒絶理由において、審査官は、ある請求項に開示されている構成要件の全てが、調査した一つの先行技術文献に開示されているから当該請求項には新規性が無い、というような指摘をします。 例えば、下記の例において審査官が「先行技術文献に基づいて、請求項1~3に係る発明には新規性が無い」と指摘したと仮定しましょう。 ●特許出願の特許請求の範囲【請求項1】Aを含む発明X(Aのみ)【請求項2】更にBを含む、請求項1に記載の発明X(A+B)【請求項3】更にCを含む、請求項1又は2に記載の発明X(A+C又はA+B+C)●先行技術文献(特許出願の出願日前のもの) 「この試作品Yは、Aから構成されている。…また、試作品Yは、更にBを追加することでより良い効果を発揮する」  この指摘の妥当性の判断は、実際に当該請求項の構成要件と提示された先行技術文献とを比較した対比表を作成して行うのが好ましいです(慣れてきたら作成の必要は無くなります)。 下記に対比表の事例を示して説明します:対比表対象請求項発明Xの構成要件先行技術文献の構成要件新規性の判断請求項1AA新規性無し請求項2BB新規性無し請求項3C(記載なし)新規性有り  上記した対比表に基づいて判断すると、先行技術文献には構成要件「C」の記載が無く、したがって、構成要件「C」を追加で請求する請求項Cには、新規性があることが分かります。 してみると、請求項1及び2について新規性が無いことは妥当ですが、請求項3について新規性が無いとの審査官の指摘は失当と判断できます。 4.新規性の拒絶理由の指摘が不当・失当である場合の処理(1)新規性の拒絶理由の指摘の「全て」が不当・失当である場合 新規性の拒絶理由の指摘の「全て」が不当・失当である場合には、請求項の修正(補正)等をする必要がありませんので、指摘が不当・失当である旨の意見書を作成して提出するだけで事足ります。(2)新規性の拒絶理由の指摘の「一部」が不当・失当である場合 新規性の拒絶理由の指摘の「一部」が不当・失当である場合には、換言すれば、指摘の一部は妥当なため、請求項の補正が必要となります。 具体的には、指摘が妥当と判断した請求項を補正した補正書を準備し、①その補正の旨と、②その他の指摘は不当・失当である旨とを記載した意見書を作成して提出すれば事足ります。 下記に事例を示して説明します:●補正前請求項特徴【請求項1】 Aを含む発明XA(新規性無し)【請求項2】 更にBを含む、請求項1に記載の発明XA+B(新規性無し)【請求項3】 更にCを含む、請求項1又は2に記載の発明XA+C又はA+B+C(新規性あり)●補正後請求項特徴【請求項1】A及びCを含む発明XA+C※請求項3の特徴Cを請求項1に追加する補正を行い、請求項1の実質的構成は上記のようになる【請求項2】 更にBを含む、請求項1に記載の発明XA+B+C※請求項1の補正の結果、請求項2の実質的構成は、上記のようになる【請求項3】 更にCを含む、請求項1又は2に記載の発明X(削除)※請求項3の特徴Cを請求項1に追加したので、請求項3自体は削除する  上記の事例では、補正前の請求項1及び2に新規性が無い一方で請求項3には新規性が有ると判断していました。そこで、請求項3の登頂Cを請求項1に追加する補正を行うことで補正書を準備します(「●補正後」を参照)。 次に、意見書において、①上記補正した旨と、②請求項3に対する新規性違反の指摘は不当・失当である旨とを記載し、これらの補正書と意見書を特許庁に提出します。 5.今回のまとめ 今回は、審査官の指摘の分析の各論として新規性の拒絶理由の分析についてお話ししました。 新規性違反に関する審査官の指摘の妥当性を評価するには、慣れないうちは、対比表を作成すると好ましいことがお分かりいただけたかと思います。 また、評価の結果、審査官の指摘の「全て」又は「一部」が「不当・失当」である場合における、補正書や意見書の作成方法も説明しました。 次回は、審査官による新規性の拒絶理由の指摘の「全て」が「妥当」である場合の対処方法について、説明します。 拒絶理由の対応にお困りの方へ おりがみ国際特許事務所では、あらゆる事例の拒絶理由の解消に長けた弁理士がサポートする環境が整っております。 特に、お客様が所望する権利範囲のみならず、現在又は将来的に必要となるであろう権利範囲の検討提案や、その権利範囲の取得に関する助言や対応など、あらゆる観点から総合的にサポートすることが可能です。 拒絶理由の対応にお困りの方は、遠慮なく弊所までご相談ください。

【特許】第3回 簡単に分かる拒絶理由の対処方法(審査官の指摘の妥当性・失当性の確認))

1.前回のおさらい 前回(第2回)では、特許庁から通知される拒絶理由の解消において場合分け(パターン化)することで機械的に対処することができることを示し、特に、パターン化の最初のフローのうち、拒絶理由(事例)を当てはめるための処理用フローチャートの概論を示しました。 パターン化とは、下記の(1)~(4)の過程を言います:(1).拒絶理由を処理用フローチャートへ当てはめ(2).処理用フローチャートに基づく拒絶理由解消の方針決定(3).拒絶理由解消の方針に基づいた解消案の提案、検討、決定(4).解消案に基づく補正案・意見書案の作成また、拒絶理由の処理用フローチャートの概論とは、下記の(1-1)~(1-4)の過程を言います:(1-1).拒絶理由通知に特許性の示唆があるか確認(1-2).審査官の指摘の妥当性・失当性の確認(1-3).審査官の指摘が失当ならば失当である旨を意見書で主張(1-4).審査官の指摘が妥当ならば拒絶理由を解消し得る補正案等を検討 前回は「(1-1).拒絶理由通知に特許性の示唆があるか確認」まで示しましたので、今回は「(1-2).審査官の指摘の妥当性・失当性の確認」についてお話しします。2.審査官の指摘の妥当性・失当性の確認を行う意味 拒絶理由通知に特許性に関する示唆があった(一部の対象請求項に拒絶理由が無い)としても、対象請求項の権利範囲では知財戦略等の観点から満足できない場合、次の段階として審査官の指摘の妥当性・失当性の確認を行います。 拒絶理由があると審査官が指摘した各請求項について、その指摘が不当(失当)であれば、その旨を意見書で主張するだけで拒絶理由を解消できるためです(1-3)。 他方、その指摘が妥当であれば、拒絶理由を解消できるような補正案等を更に検討する必要があります(1-4)。3.審査官の指摘の妥当性・失当性の分析方法 審査官の指摘の妥当性の分析方法は、新規性、進歩性や、明確性要件等の拒絶理由によって異なります。 なお、これらに共通する観点としては、3-1.審査官の意図していること(日本語文章)の正確な把握、3-2.発明の属する分野における技術常識に基づく解釈、が重要です。3-1.審査官の意図していること(日本語文章)の正確な把握 少し脱線しますが、日本人だからといって日本語を正確に使いこなせる人(書き手)は少なく、また、日本語の文章を正確に解釈できる人(読み手)も少ないです。 拒絶理由の解消のためにはその拒絶理由の文章、すなわち審査官の意図を正確に把握する必要があります。 しかし、審査官も人ですから、文章の長文化で言いたいことの本質が埋もれてしまったり、文章の短文化で載せるべき情報が欠けてしまうなど、審査官の意図が明確かつ正確に反映されていない拒絶理由が見受けられることがあります。 他方、拒絶理由の文章の読み手、つまり出願人や代理人の弁理士等でも文章の解釈方法や能力は千差万別ですので、審査官の意図を明確かつ正確に読み取れなかったり、誤った解釈をしてしまうことがあります。 まとめますと、拒絶理由に限らず文章を構築して正確に解釈するという作業は、想像以上に非常に難しい技術なのです。 対策としましては、拒絶理由通知の内容解釈に自信が無い場合には、担当審査官に電話して確認し、場合によっては審査官面談を依頼するのが好ましいかと思料します。 なお、審査官面談等には、副次的な効果として拒絶理由解消のヒントをもらえる可能性もあります。3-2.発明の属する分野における技術常識に基づく解釈 特許明細書は発明の技術的思想が表現されている文書ですので、拒絶理由でも、その発明の属する分野における技術常識に基づいて文章が構築されています。 したがって、審査官の意図することを正確に理解するためには発明の属する分野における技術的思想に関する知識が必要となることがあります。4.今回のまとめ 今回は、審査官の指摘の妥当性・失当性の概論についてお話ししました。 特に、審査官の指摘が不当又は失当である場合には、その後の詳細な分析をする必要がなく、そのこと(不当・失当)だけを主張すれば良いことがお分かりいただけたかと思います。 審査官の指摘の妥当性等に関する分析方法としては、まずは審査官の拒絶理由の意図(本質)を正確に把握することが必要であり、今回は、その概論を述べました。 次回以降は、審査官の指摘の妥当性等の分析について、新規性や進歩性、明確性等の個別の拒絶理由毎に説明していきます。拒絶理由の対応にお困りの方へ おりがみ国際特許事務所では、あらゆる事例の拒絶理由の解消に長けた弁理士がサポートする環境が整っております。 特に、お客様が所望する権利範囲のみならず、現在又は将来的に必要となるであろう権利範囲の検討提案や、その権利範囲の取得に関する助言や対応など、あらゆる観点から総合的にサポートすることが可能です。 拒絶理由の対応にお困りの方は、遠慮なく弊所までご相談ください。

【Patent】 Regarding Power of Attorney

1.Question regarding Power of AttorneyWhy the power of attorney is in favor of an Individual name and not in favor of a firm name?Furthermore, in case there are several patent attorneys working in the same firm, can a POA be in favor of several patent attorneys?Thanks in advance for the clarifications / confirmation.2.AnswerUnder the Japanese Patent law, the person who can take the procedure before the JPO on behalf of applicant resident abroad(an overseas resident) is limited to either a patent attorney or a patent professional corporation (patent attorney corporations).Therefore, a patent attorney is only person who could act before the JPO.Please note that it is possible to list several patent attorneys in the Power of attorney in case there are several patent attorneys working in the same patent firm.Hope the above clarifies your question, should you have any further question, please feel free to contact us at anytime.

【特許】第2回 簡単に分かる拒絶理由の対処方法(概論)

1.前回のおさらい 前回(第1回)では、特許庁から通知される拒絶理由の解消において場合分け(パターン化)することで機械的に対処することができる旨、お話ししました。 パターン化とは、下記の(1)~(4)の過程を言います:(1).拒絶理由を処理用フローチャートへ当てはめ(2).処理用フローチャートに基づく拒絶理由解消の方針決定(3).拒絶理由解消の方針に基づいた解消案の提案、検討、決定(4).解消案に基づく補正案・意見書案の作成 今回は、拒絶理由の処理用フローチャート(概論)についてお話しします。2.拒絶理由の処理用フローチャート(概論) 拒絶理由には、新規性や進歩性、明確性違反等、種々あるのですが、最初にやることはこれらの詳細な検討ではありません。 具体的には下記の(1-1)~(1-1)の順番で見ていきます。(1-1).拒絶理由通知に特許性の示唆があるか確認(1-2).審査官の指摘の妥当性・失当性の確認(1-3).審査官の指摘が失当ならば失当である旨を意見書で主張(1-4).審査官の指摘が妥当ならば拒絶理由を解消し得る補正案等を検討3.拒絶理由通知に特許性の示唆があるか確認 拒絶理由通知を受け取ったからといって、特許請求の範囲に記載されている全ての請求項に拒絶理由があるとは限りません。 つまり、一部の請求項には拒絶理由が無い、と審査官がコメントしている場合があります。 具体的には「<拒絶の理由を発見しない請求項>」の有無を確認しましょう(下記は例示)。<拒絶の理由を発見しない請求項> 請求項2及び3に係る発明については、現時点では、拒絶の理由を発見しない。 拒絶の理由が新たに発見された場合には拒絶の理由が通知される。 拒絶理由の無い請求項がある場合には、原則として下記の(1)又は(2)の対応で拒絶理由を解消することができます。(1-1-1).拒絶理由が指摘されていない請求項の特徴を独立請求項に追加する(追加補正)(1-1-2).拒絶理由が指摘されている請求項を削除する(削除補正) ただし、当該追加補正や削除補正で対応して得られる特許権の権利範囲に不服がある場合には、次のフローの「(1-2).審査官の指摘の妥当性・失当性の確認」を行う必要があります。 特許権の権利範囲に不服がある場合とは、例えば、下記のような事態を挙げることができます: ①.実際に実施又は実施予定している製品やサービスが自社の特許権の権利範囲外である場合に、第三者による製品・サービスの実施を差止めしたり、損害賠償請求することができない事態 ②.競合他社が実施しようとしている製品やサービスが自社の特許権の権利範囲外である場合に、その競合他社による製品・サービスの実施を差止めしたり、損害賠償請求することができない事態 ③.第三者に自社の製品やサービスをライセンスしようと検討していても、それらが特許権の権利範囲外である場合には、ライセンスする明確な根拠が無い事態3-1.拒絶理由が指摘されていない請求項の特徴を独立請求項に追加する(追加補正) (1-1-1).拒絶理由が指摘されていない請求項の特徴を独立請求項に追加することに関して、具体的に事例を見ていきましょう。 事例として、請求項1~4で申請した特許出願に対して拒絶理由が通知され、請求項2及び3に拒絶理由が無い旨指摘された場合で検討します。 下記の事例では、請求項2の特徴「B」を請求項1に追加する補正を行っています。●補正前【請求項1】Aを含む発明X【請求項2】更にBを含む、請求項1に記載の発明X【請求項3】更にCを含む、請求項1又は2に記載の発明X●補正案【請求項1】A及びBを含む発明X【請求項2】更にBを含む、請求項1に記載の発明X【請求項32】更にCを含む、請求項1又は2に記載の発明X3-2.拒絶理由が指摘されている請求項を削除する(削除補正) (1-1-2).拒絶理由が指摘されている請求項を削除することに関して、具体的に事例を見ていきましょう。 事例として、請求項1~3で申請した特許出願に対して拒絶理由が通知され、請求項1及び2に拒絶理由が無い旨指摘された場合で検討します。 下記の事例では、請求項3を削除する補正を行っています。●補正前【請求項1】Aを含む発明X【請求項2】更にBを含む、請求項1に記載の発明X【請求項3】更にCを含む、請求項1又は2に記載の発明X●補正案【請求項1】Aを含む発明X【請求項2】更にBを含む、請求項1に記載の発明X【請求項3】更にCを含む、請求項1又は2に記載の発明X4.今回のまとめ 第2回目となる今回は、拒絶理由の処理用フローチャート(1-1)~(1-4)を示し、その中でも「(1-1).拒絶理由通知に特許性の示唆があるか確認」するフローを説明しました。 拒絶理由通知を受け取ったとしても、一部の請求項には拒絶理由が無い、と審査官がコメントしている場合には最低限度の労力で拒絶理由を解消できる可能性があります。 ただし、一部の請求項に拒絶理由が無いとしてもその請求項の権利範囲で満足できない場合には、更なる検討が必要となりますので注意が必要です。 次回は、「(1-2).審査官の指摘の妥当性・失当性の確認」について説明します。 次回以降は、新規性や進歩性、明確性等に関する各拒絶理由について個別に説明していく予定です。拒絶理由の対応にお困りの方へ おりがみ国際特許事務所では、あらゆる事例の拒絶理由の解消に長けた弁理士がサポートする環境が整っております。 特に、お客様が所望する権利範囲のみならず、現在又は将来的に必要となるであろう権利範囲の検討提案や、その権利範囲の取得に関する助言や対応など、あらゆる観点から総合的にサポートすることが可能です。 拒絶理由の対応にお困りの方は、遠慮なく弊所までご相談ください。

【特許】第1回 簡単に分かる拒絶理由の対処方法(目的)

1.このシリーズの目的について 今回から、拒絶理由通知の解消方法をシリーズで語っていきます。 対象者は、初学者の方のみならず実務者(弁理士、特許技術者や知的財産部)も想定しています。 このシリーズでは初学者の方にも分かりやすいように解説していきますので、拒絶理由通知を受け取り、その解消に困っている方の一助となれば幸いです。 また、実務者の方でも復習や処理のスピード向上にお役立ていただければと思います。2.拒絶理由通知とは ある発明の特許出願後に特許庁に審査請求を行うと、審査官がその発明に特許権を与えるか否かの審査に入ります。審査項目は種々あるのですが、発明の新規性や進歩性の有無、発明の明確性等が主な審査項目となります。 特許可能なら「特許査定します」という旨の特許査定通知が届きますが、現状では特許できないと判断されると拒絶理由通知が届きます。 拒絶理由通知には、その発明を特許できない理由と根拠が論理的に記載されており、一見するとこれを覆すことは難しいように思えます。 実際、企業の知的財産部や開発者の方からも、拒絶理由通知に関する問い合わせはよく受けます。3.拒絶理由はパターン化して対処する 特許庁から通知される拒絶理由の解消では、場合分け(パターン化)することで機械的に対処することができます。 特定の拒絶理由では、パターン化が9割と言っても過言ではありません。 ここでいうパターン化とは、下記の(1)~(4)の過程を言います:(1).拒絶理由を処理用フローチャートへ当てはめ(2).処理用フローチャートに基づく拒絶理由解消の方針決定(3).拒絶理由解消の方針に基づいた解消案の提案、検討、決定(4).解消案に基づく補正案・意見書案の作成 ※意見書の書き方にもパターン、つまり「型」があるのでそれに当てはめるだけです。  このように、拒絶理由を処理用フローチャートに当てはめるだけで機械的に処理することが可能となり、拒絶理由の解消と迅速な処理とを両立することができます。 次回以降、拒絶理由の解消方法について具体的に説明していきます。拒絶理由の対応にお困りの方へ おりがみ国際特許事務所では、あらゆる事例の拒絶理由の解消に長けた弁理士がサポートする環境が整っております。 特に、お客様が所望する権利範囲のみならず、現在又は将来的に必要となるであろう権利範囲の検討提案や、その権利範囲の取得に関する助言や対応など、あらゆる観点から総合的にサポートすることが可能です。 拒絶理由の対応にお困りの方は、遠慮なく弊所までご相談ください。

【特許】特許料追納期限徒過のコロナ理由による回復理由書の書き方

1.特許料の納付期限・追納期限の徒過 特許出願、審査請求、特許庁による審査を経て、特許権を取得した後は、特許権を維持するための年金を特許庁に支払う必要があります。1回目の支払いは、第1年分~第3年分を、特許査定の謄本送達日から30日以内に一括納付で行います(特許法第108条)。 第4年分は、特許権の設定登録日から3年後の該当日までに支払う必要があります。期限の考え方を下記に例示して示しています。・設定登録日 2018年11月9日 設定登録日はJplatPat等で確認できます。 (特許法第108条)・第4年分納付期限 2021年11月9日 設定登録日の月日を記録しましょう。・第4年分追納期限 2022年5月9日 期日までに支払えば倍額納付で済みます。 (特許法第112条第1項、第2項)・第5年分納付期限 2022年11月9日 前年分の年金を納付していないと、翌年分の年金を納付できないことに注意ください。 したがって、この時点で第4年分を納付できないと、原則、第5年分も追納の処理が必要となります。・第4年分正当理由 2023年5月9日(最大) 第4年分の追納期限に年金納付できなかった場合に、正当な理由を主張する最大期限の日について詳細は後述します。  上記に示すとおり、第4年分の納付期限を徒過したとしても、そこから6ヶ月の間は追納期限が設けられ、未だ特許権を回復させることが可能です(但し、この場合には第4年分は倍額納付する必要があります、特許法第112条第1項、第2項)。 他方、この追納期限も徒過した場合には、原則として、収めた年分いっぱいまでを区切りとして遡及消滅します(特許法第112条第4項)。 しかしながら、この規定にも例外があり、追納期限に特許料を追納できなかったことに「正当な理由」がある場合には、最大1年間の猶予をもって特許権の回復処理を行える可能性があります(特許法第112条の2第1項)。 正確には、「正当な理由」の主張は、その理由がなくなった日から2ヶ月期限、又は、上記した最大1年期限の、いずれか先にくる短い期限までですのでその点注意ください(特許法施行規則第69条の2第1項)。 この「正当な理由」の条件が非常に厳しく、天変地異等の予測困難性が必要とされます。例えば、事務的ミス等では典型的には当該条件を充足することができませんし、理由があったとしても、その証明は非常に煩雑です。2.期限徒過に対する柔軟な対応 しかしながら、このコロナ下における期限徒過に関して柔軟に対応するとの発表がありました。「特許庁への手続について、新型コロナウイルス感染症の影響により、指定された期間内に手続ができなくなった場合には、以下のような例にしたがい、指定期間を徒過していても有効な手続として取り扱うものとします。(令和4年2月10日更新)」3.特許料追納期限の徒過には回復理由書を提出 具体的には、特許料追納期限の徒過には、回復理由書を作成して提出することにより対応します(特許法施行規則第69条の2第2項)。 特許料追納期限の徒過に関する回復理由書の記載例を下記に示していますので、よろしければ参考としてください。 なお、下記の記載例では、「手続をすることができなかった理由がなくなった日」を委任状等の情報が揃った日としていますが、「手続をすることができなかった理由がなくなった日」の判断は、特許庁での審査の過程で変わる可能性がありますので、あくまで一例とお考えください。 特許庁の運用では、特許料追納期限の徒過の場合における「手続をすることができなかった理由がなくなった日」を「出願人や代理人が未納に気づいた日」とされる可能性があり、その場合には、上記した2ヶ月期限を徒過する可能性も否定できません。 いずれにせよ、特許料の未納に気づいた場合には、迅速に納付手続を行うのが好ましいでしょう。 なお、特許料追納期限の徒過に関する回復理由書はインターネット出願ソフトでの提出はできず、紙媒体での提出となることにもご留意ください。-----------------------------------------------------------------【書類名】       回復理由書【整理番号】      ●●●●●●●●●●【提出日】       令和●●年●●月●●日【あて先】       特許庁長官殿【特許番号】      特許第●●●●●●●号【特許権者】  【識別番号】    ●●●●●●●●●  【氏名又は名称】  特許 次郎【代理人】  【識別番号】    ●●●●●●●●●  【弁理士】  【氏名又は名称】  ●●●●●【回復の理由】1.要約 本件、特許第●●●●●●●号は、下記で詳細に説明しますとおり、特許法第112条の2第1項に規定されている「正当な理由」に該当します。 つきましては、本回復理由書と同時に提出した特許料納付書の受理、及び同条第2項の適用を賜るようお願い申し上げる次第です。2.「正当な理由」に該当すべき理由 新型コロナウイルス感染症の影響により、出願人の「●●●●●●●●●●●●」の知的財産部が令和●●年●●月●●日から実質的に閉鎖され、該知的財産部の部員が在宅勤務となり、本件の第4年分の年金の未納という事態が生じた次第です。 令和●●年●●月●●日より在宅勤務が解除され、出願人は上記未納の事態を把握し、直ちに、代理人に第4年分の年金の納付を依頼しました。 その後、代理人は、種々の調整と書類作成を行い、納付に係る書面を特許庁に提出可能となりました。3.「手続をすることができなかった理由がなくなった日」とその根拠(1)ア.手続をすることができなかった理由がなくなった日 本事件の理由がなくなった日は、令和●●年●●月●●日です。(2)イ.手続をすることができなかった理由がなくなった日とした根拠 本件特許第●●●●●●●号に関する個別(包括)委任状を代理人が受領し、かつ特許料納付書等の書類作成に必要な情報が出揃った同日が「理由がなくなった日」であるためです。                                      以上【提出物件の目録】  【物件名】     個別(包括)委任状(及びその翻訳) 1   【援用の表示】  令和●●年●●月●●日提出の個別(包括)委任状-----------------------------------------------------------------

【雑記】弁理士の年収について

1.弁理士の年収と働き方 結論から入りますが、弁理士の年収についてですが、中堅の雇われ弁理士で600万~700万(年齢30代くらい)くらいが妥当なようです。 最近は、特許事務所もあまり儲かっていないので、特許事務所より企業知財部指向の弁理士が増えているように感じます。 弁理士資格があれば、一流企業の知財部に入ることはそこまで難しくも無いですし、退職金制度や福利厚生も企業の方が良く、また、一流企業であれば特許事務所にありがちな残業三昧やUrgent(緊急)の仕事もほぼ無くホワイトです。 なので、形式的な年収が特許事務所と企業とで同じと仮定しても、実質的には企業の方が圧倒的に良いですし労働環境も企業の方に軍配が上がります。 ただし、特許事務所でも大手に入り、それなりに実力や貢献があれば、10年程度でパートナー(企業でいう管理職)になれる可能性があります。 割合でいうと、弁理士の10人に1人くらいでしょうか(この割合は弁護士先生の方にも言えるようで、実感としてかなり正確な割合だと思います)。 パートナーになれれば、年収2000万~3000万くらいもらえるので、企業勤めを上回ることが可能です。しかし、パートナーは下につく弁理士や特許技術者の面倒をみて、お客様とのお酒の付き合いを続け、案件の事故があれば海外でも謝りに行く、という結構大変な役職でもあります。 他方、企業勤務の弁理士でも、事業会社の部長職やコンサル系の研究員等になることができれば、2000万くらいいける可能性があります。 では、特許事務所を開業した代表弁理士はどうでしょうか。実際のところ、開業して数千万の年収が待っているかというとそうでもありません。 500万程度の代表弁理士もいれば、2000万程度の代表弁理士もいますし、それ以上もいます。開業したからといって儲かるかは別の話しです。 結局のところ、特許事務所を開業したら営業力がモノをいう世界になるので、きれいなHPを作り、コツコツとドメインパワーを向上させ、広告を打ち、昔もらった名刺宛てに片っ端から「開業しましたのでよろしくお願いします!」とメールし、コネで仕事をもらい…という地味な作業が続きます。 それでも、特許事務所を開業して自分の城を持ってやっていくというのは楽しいですしストレスフリーですので、お金では買えない価値があります。 結局のところ、どこかの特許事務所に入ってパートナー目指すも良し、企業に入るも良し、開業するも良しで、自分の適性と相談されるのがよろしいかと思います。2.弁理士の収入の将来性 特許事務所の界隈では現在、統廃合が進んでいます。 特許事務所の70%前後が弁理士の1人事務所であってあること、弁理士の高齢化も進んでいること、企業知財部の求める要求が高まっていることから、特許事務所が減少し中~大の特許事務所が存続をかけて案件をこなしている状況にあるかと思います。 弁理士の仕事は、専業業務でかなり守られているため無くなることは無いですが、案件(特許出願件数等)の減少もあることから通常業務で大儲けできるというわけでもありません。 弁理士の基本業務(発明や商標相談~出願~審査~権利化)はできて当たり前であって、プラス・アルファの価値をつけることができないと頭一つ抜けることは厳しいでしょう。 弁理士は英語の読み書きができる人が多いですが、それにプラスして話すこともできればとりあえず食いっぱぐれることは無い印象ですし、パートナー候補に入ることも可能です。 また、本気で儲けていきたいと考える場合には、今流行りの知財価値評価やIPランドスケープなどを本気で学んでいくのが良いかと思います。 知財価値評価は会計知識が必要なことや、IPランドスケープでは特許データ分析や営業情報との相互作用などの検討が必要でこれらには弁理士でも参入(学習)障壁があるため、これらに対応できる弁理士は少ないです。したがって、これらを売りにすればかなり儲けることができるかと思います。3.事業に関する考え方 弁理士の業務を問わず事業を成功させる一つの方法として、新しい分野、新しい法律、新しい制度、新しい規制などに、常に意識を向けておくことが良いでしょう。 これは、新しい分野や新しい制度に対してはそれが始まった段階では未だ誰もそれに対応しておらず、ブルーオーシャンが広がっているためです。 既に寡占されている市場でパイを奪い合うことは非常に大変で地道な作業が必要であり爆発的な規模拡大を狙うことは難しいですが、新しい分野等では、そこで迅速な事業展開ができれば寡占できる可能性が大いにあるのですね。 私も日々、新しい分野等が無いか新しい制度が国会で話されていないかなどに注意を向けています。

【知財事務】代理人受任届に関する実務

1.知財事務(特許事務)の仕事 知財事務(特許事務)の仕事内容は、専門的なもので、例えば下記のようなものが挙げられます: (1)弁理士や特許技術者から受け取った出願書類等に出願情報を加筆して調整すること (2)図面や表をイメージ化して出願フォーマットに変換すること (3)出願情報に変更が無いか過去~最新の状態をチェックすること (4)案件の期限管理や包袋管理を行うこと (5)名義変更等の手続を行うこと (6)特許年金・商標更新の管理を行うこと 知財事務は基本的に事務方が担当しており、かつそのノウハウに関する書類等が交付されているわけでもなく、事務方の長年の経験に依存しているため、その実務を弁理士でもあまり分かっていない人が多いです。2.代理人受任届の実務 今回は、代理人受任届に関する実務を書きます。 これを読む人は、特許事務所関連の人がメインとは思いますが、知財事務をやってみたいという人も後学のためにおすすめです。 さて、懸案の「代理人受任届」ですが、代理人の弁理士を「追加」するときに使用します。 例えば、最初に出願を担当した代理人は、代理人受任届を提出する必要はありません。 また、代理人受任届を提出する際には、個別又は包括委任状を提出するか、又は過去に提出した委任状を援用する必要があります(援用の表示は代理人受任に記載すれば事足ります)。 代理人受任届を提出するタイミングは、お客様が「日本国内に住所又は居所(法人にあつては、営業所)を有する者」である場合には、案件の手続を行う直前に基本的に行います。 他方、お客様が「日本国内に住所又は居所(法人にあつては、営業所)を有する者」でない場合、つまり、外国のお客様である場合には、前任の代理人が代理人辞任届を提出する前に、後任の代理人が代理人受任届を提出する必要があります(特許法第8条)。 外国のお客様の場合には、代理人による案件管理が必須で課されているためです。 余談ですが、最初に出願を担当した代理人であっても、権利の死活に関する下記の手続を行う前には、個別若しくは包括委任状の提出、又はその援用が必要となるのでご注意ください(特許法第9条)。 (1)特許出願の変更 (2)特許出願の放棄 (3)特許出願の取下げ (4)特許権の存続期間の延長登録の出願の取下げ (5)特許権の存続期間の延長登録の出願の請求 (6)特許権の存続期間の延長登録の出願の申請 (7)特許権の存続期間の延長登録の出願の申立ての取下げ (8)第四十一条第一項の優先権の主張 (9)第四十一条第一項の優先権の取下げ (10)第四十六条の二第一項の規定による実用新案登録に基づく特許出願 (11)出願公開の請求 (12)拒絶査定不服審判の請求 (13)特許権の放棄 (14)復代理人の選任 

【お知らせ】コロナ禍を理由とする期限徒過の救済

1.特許・商標・意匠での期限徒過 特許、実用新案、商標、及び意匠では、その出願や権利において、種々の法定期限が設定されています。 この法定期限には厳格に対応せねばならず、法定期限の徒過は出願人にも代理人にとっても死活問題となる重要事項です。 法定期限には、その延長制度や、救済規定もあったりします。しかしながら、延長制度や救済規定の適用にもたくさんの要件や条件があり、適用が容易なものもあれば困難なものもあります。2.コロナ禍を理由とする期限徒過の救済 現在、特許庁は、コロナ禍を理由とする期限徒過の救済を行っています。 この救済は種々の手続について広範に適用されるものでして、案件の期限徒過でお困りの方は、是非とも検討されることをおすすめします。 下記は、特許庁のHPの引用ですが、期限徒過の対応が難しいと思われる方は弊所までご相談ください。 引用URL:https://www.jpo.go.jp/news/koho/info/covid19_tetsuzuki_eikyo.html<1> 14日以内に手続することで救済が認められる手続* * 法令上、「その責めに帰することができない理由」による期間徒過の救済が定められているもの 手続が可能となってから14日以内に手続をしてください(在外者の場合は2月以内((7)について在外者の場合は1月以内))。 ただし、所定期間経過後6月以内に限ります。((6)については改正前特許法第67条第2項の政令で定める処分を受けた日から9月以内、(7)については所定期間経過後2月以内、(21)及び(23)については国内処理基準時の属する日後又は国際公表があった日後7月以内)。 期間内に手続をすることができなかった手続に係る書面に【その他】欄を設けて手続ができなかった事情を記載するか、上申書の【上申の内容】欄に上記事情を記載して提出してください。(1)新規性喪失の例外規定の適用を受けるための証明書の提出(特30条4項、意4条4項)(2)パリ条約による優先権主張に係る優先権証明書の提出(特43条8項、実11条1項、意15条1項、意60条の10第2項、商13条第1項)優先権証明書発行事務の遅延による提出期間徒過については方式審査便覧28.21(PDF:98KB)をご参照ください。(3)特許出願の分割(特44条7項、実11条1項)(4)実用新案登録出願又は意匠登録出願から特許出願への変更(特46条5項)(5)実用新案登録に基づく特許出願(特46条の2第3項)(6)特許権の存続期間の延長登録出願(改正前特67条の2第3項、改正前特施令3条ただし書)(7)改正前特許法第67条の2の2第1項の規定による書面の提出(改正前特67条の2の2第4項)(8)特許料(登録料)の納付(特108条4項、実32条4項、意43条4項、商41条4項、41条の2第4項、65条の8第5項)(9)既納の特許料(登録料)の返還請求(特111条3項、実34条3項、意45条、商42条3項、商65条の10第3項)(10)拒絶査定不服審判の請求(特121条2項、意46条2項、商44条2項)(11)再審の請求(特173条2項、実45条1項、意58条1項、商61条)(12)出願審査の請求の手数料又は過誤納の手数料の返還請求(特195条13項、実54条の2第12項、意67条9項、商76条9項)(13)実用新案登録の明細書等の訂正(実14条の2第6項)(14)実用新案登録無効審判請求の取下げ(実39条の2第5項)(15)参加申請手数料の返還に係る参加申請の取下げ(実54条の2第6項)(16)補正却下決定不服審判の請求(意47条2項において準用する意46条2項、商45条2項において準用する商44条2項)(17)意匠法第60条の6第1項の規定により意匠登録出願とみなされた国際出願(以下「国際意匠登録出願」という。)に係る個別指定手数料の返還請求(意60条の22第3項)(18)商標出願時の特例の規定による証明書の提出(商9条4項)(19)国際登録の取消し後の商標登録出願(商68条の32第6項)(20)マドリッド協定議定書の廃棄後の商標登録出願(商68条の33第2項で準用する商68条の32第6項)(21)国際特許出願における発明の新規性喪失の例外規定の適用を受けるための証明書の提出(特施規38条の6の3)(22)国際特許出願又は特許法第184条の20第1項の申出をする場合におけるパリ条約による優先権主張に係る優先権書類の提出(特施規38条の14第1項)(23)国際意匠登録出願における意匠の新規性喪失の例外規定の適用を受けるための証明書の提出(意施規1条の2)<2> 2月以内に手続することで救済が認められる手続* * 法令上、「正当な理由」による期間徒過の救済が定められているもの手続が可能となってから2月以内に手続をしてください。 ただし、所定期間経過後1年以内に限ります。((7)から(9)までについては所定期間経過後6月以内)。所定の期間内に行うことができなかった手続に係る書面及び手続をすることができなかった理由等を記載した回復理由書を提出してください。(1)外国語書面出願の翻訳文の提出(特36条の2第6項)(2)出願審査の請求(特48条の3第5項)(3)特許料(登録料)及び割増特許料の追納(特112条の2第1項、実33条の2第1項、意44条の2第1項)(4)外国語特許出願の翻訳文の提出(特184条の4第4項)(5)国際特許(実用新案登録)出願における在外者の特許管理人の選任(特184条の11第6項、実48条の15第2項)(6)外国語実用新案登録出願の翻訳文の提出(実48条の4第4項)(7)商標権の存続期間の更新登録の申請(商21条1項)(8)後期分割登録料及び割増登録料の追納(商41条の3第1項)(9)防護標章登録に基づく権利の存続期間の更新登録の出願(商65条の3第3項)<3> 優先権の主張について* * 法令上、「正当な理由」による期間徒過の救済が定められているもの優先権の主張を伴う出願をすることができる期間の経過後2月以内に手続をしてください。 所定の期間内に行うことができなかった手続に係る書面及び手続をすることができなかった理由等を記載した回復理由書を提出してください。(1)特許出願等に基づく優先権主張(特41条1項1号括弧書、実8条1項1号括弧書)(2)パリ条約の例による優先権主張(特43条の2第1項、実11条1項、意15条1項)(3)特許協力条約に基づく国際出願に係る優先権主張(国際出願法施規28条の3第1項) ※左記(3)の詳細は、[よくある質問(QA)]新型コロナウイルス感染症拡大に伴う対応等について(PCT国際出願)の【PCT国際出願手続における救済措置について】Q3をご参照ください。<4> 特許協力条約に基づく国際出願について 手続が可能となった後できる限り速やかに手続をしてください。ただし、所定期間経過後6月以内に限ります。 ※ 手続方法等、詳細は、[よくある質問(QA)]新型コロナウイルス感染症拡大に伴う対応等について(PCT国際出願)の【PCT国際出願手続における救済措置について】Q2をご参照ください。(1)特許協力条約に基づく国際出願の手続に係る書面の提出(国際出願法施規73条の3第1項)<5> 特許(登録)料の納付期間経過後に割増特許(登録)料の免除*が認められる納付手続 * 法令上、「その責めに帰することができない理由」により、納付期間経過後の割増特許(登録)料の免除が定められているもの(令和3年10月1日以降に納付期間が経過した権利が対象) 「割増納付期間内(納付期間経過後6月)」又は「割増納付期間経過後(「正当な理由」による期間徒過に限る。)手続が可能になった日から2月以内(ただし、特許権・実用新案権・意匠権にあっては割増特許(登録)料納付期間経過後1年以内、商標権にあっては割増登録料納付期間経過後6月以内に限る。)」に、その責めに帰することができない理由がある旨の申出と同時に納付手続をしてください。

【特許】技術を特許化するか秘匿化するかの見極め

1.技術を特許化するか秘匿化するか 市場価値がある新しい技術を開発したりアイデアをひらめいたら、それを特許化するかどうかという問題があります。 なぜ問題になるかといえば、特許(特許権)は、その技術等を一般に公開する対価として競合他社を排他的権利であり、公開することが強制されるからです。 特許権の有効期限は、原則として特許出願日から20年です。20年経過したらそもそも技術が陳腐化するから、どんどん特許出願した方がいいのでは?という意見もあります。 しかしながら、仮にこれを権利化できなかった場合には、多大な労力と費用をかけて単に技術を公開するだけで終わってしまうこともあるわけです(なお、例えば、早期審査で、出願公開前に結果を知るという手段もあります)。2.特許化と秘匿化の判断の一つ 特許化するか秘匿化するかの判断の一つとしては、その市場価値のある技術が「ノウハウ」か否かでの判断が挙げられます。 ノウハウというのは、典型的には模倣困難な技術や秘匿技術のことです。ノウハウ認定される技術は、仮にこれを公開しなければ、そこに到達することは難しい技術とも言えます。 例えば、匠のワザ等の属人的技術などが典型例ですね。 ある物を製造する場合に、経時的・色味・粘度等に応じて複雑に変動させる特定の温度・湿度・撹拌速度がある場合には、その組み合わせを見出すことは一般的には難しいです。 そのような技術はノウハウ技術に分類して良いと思いますし、例えば、コカ・コーラ社のコーラや、KFCコーポレーションのフライドチキンなどは特許出願などしておらず、その製法や味は秘匿化されています。 他方、いつか誰かが到達できるような技術や、リバースエンジニアリングで特定可能な技術と推定されるもの、つまり、陳腐化する可能性が高い技術は、特許出願するのが好ましいでしょう。3.どうしても特許化したい場合の対応 なお、上記では、模倣困難な技術や秘匿技術の「製法」のことをお話ししましたが、模倣困難な技術や秘匿技術の「物」は、特許出願することはできます。 「物」で特許出願する場合には、その書類中にその「物」の作り方(製法)も掲載する必要がある(一般的には実施可能要件やサポート要件と呼ばれます)のでこの点どうするか、ということが問題となります。 この点は、ベストモード(最良の実施形態)では掲載しないとか、その実施例を載せない、あるいは、特定パラメータは開示しない等で対応することが可能です。 実施可能要件は、基本的にはその「物」が少しでも生産できるように説明が開示されていれば十分なんですね。